そして2014年も暮れゆく 〜音楽部門年間ベスト10+α〜

今年も恒例、個人的2014年ベストのご紹介を。(このブログはこの発表のためにある感じになってまいりました…)

■新譜Music部門 2014

1 Lost Memory Theatre act2 / Jun Miyake
ロスト・メモリー・シアター act-2
2013年のLost Memory Theatre act1の続編ですが、2年連続で個人的ベスト1。聴くたびに新たな映像世界が頭の中に広がり、自分の深層心理がゆっくりと解放されるような摩訶不思議なアルバムです。三宅純さんのトークセッションでは、この2枚のアルバムの制作秘話なども伺いました。8月には同名の音楽劇も鑑賞し、生バンドによる素晴らしい演奏を堪能しました。act3もあるのでしょうか?


2 Circuit Rider / Ron Miles 
Circuit Rider
これまた、昨年の2位に挙げたロン・マイルズ(tp)、ビル・フリゼール(g)、ブライアン・ブレイド(ds)のトリオによる新録音。今回はロン・マイルズ単独のクレジットになっていますが、音のスペースを生かした達人たちの演奏はほんと気持ち良すぎて卒倒しそうです。個人的に大好きな音のトーン、というかテクスチャー。個人的なツボに入りっぱなしです。この三人の組み合わせでぜひ来日してもらいたいのですがどうでしょう。


3 Our Kind of Bossa / Bossacucanova 
Our Kind of Bossa
ボサノヴァ・レジェンドであるホベルト・メネスカルの子息、マルシオ・メネスカルをはじめ、DJのマルセリーニョ・ダルア、サウンドエンジニアのアレックス・モレイラによるグループ「ボサクカノヴァ」。ゲストボーカルにクリス・デラーノやマリア・ヒタなども加え、ご機嫌な電化ボサノヴァを聴かせます。その音には良い意味での“エエとこのボンボン”っぽい明るさがあり、今年はじつによく聴きました。ちょっと楽しくなりたい時にかける感じ。こちらもぜひ来日してほしい!


以上がベスト3。その他順不同ですが便宜上ベスト4〜10として、こんなアルバムをセレクトしました。


4 Black Messiah / D'Angelo & The Vanguard 
BLACK MESSIAH
年末に急に飛び込んできたディアンジェロ久々の新譜。おかげでランキングを急遽修正(笑)。全体的な印象は、スライの『スモール・トーク』をアドレナリン増量した感じで、ファミリー・ストーンのラスティ・アレン(b)とビル・ローダン(ds)のルーズなグルーヴを思い出しました。やはり、プリンスとかスライとかディアンジェロといったファンク色の強い音には体質的に抗えません。


5 Roendopinho /
Roendopinho
名ギタリストであり、現代ブラジルのコンテンポラリー音楽における大作曲家と言ってもいいギンガ。珠玉の旋律と和音がたまりません。頭に「?」が湧くのに気持ちいい。これはもう変態の世界ではなかろうか(笑)。


6 Rendez-Vous In Tokyo / ITO Goro + Jaques Morelenbaum
ランデヴー・イン・トーキョー
今夏に、伊藤ゴロー(g)とジャキス・モレレンバウム(celo)、そして奥方のパウラ・モレレンバウム(vo)にサポートメンバーを加えたライブをブルーノート東京で見ることができました。その来日時に録音されたこのアルバムを聴くと、ライブ当日の思い出が蘇ります。ミックスがとても良くて、ゴローさんとジャキスの弦の音がじつに素晴らしい響きです。


7 RACHA FORA / RACHA FORA
Racha Fora
本宿宏明 (fl・EWI) 池田里花 (vln) Mauricio Andrade (g) Rafael Russi (b) +ゲスト(pandeiro)、ボストンを拠点に活動する日本人とブラジル人の混成グループ「ハシャ・フォーラ」。ジョージ・ラッセルに師事した本宿氏をはじめ、バークリー出身のメンバーの演奏は、ジャズを基本にしながらブラジリアン・ミュージック、プログレ、そして邦楽などの要素も融合しスリリングなインプロビゼーションを展開します。11月の来日ツアーも見に行きましたが、マイルスやボサノヴァの名曲も彼らの手にかかると全く新しい顔つきになります。


8 Perfect Animal / Becca Stevens Band
パーフェクト・アニマル
ジャズとフォークミュージックがいい感じに融合している今注目のバンドですね。来日公演が楽しみ。


9 Alexandre Andrés / Olhe Bem As Montanhas
【輸入盤】Olhe Bem As Montanhas [ Alexandre Andres ]
ブラジル・ミナス期待の若手シンガーソングライター、アレシャンドレアンドレス。昨年のデビューアルバムに続き、このアルバムも心に残るとてもいい旋律揃いでした。


10 Silêncio - Um Tributo A João Gilberto / Renato Braz, Nailor Proveta, Edson Alves
シレンシオ~ジョアン・ジルベルト・トリビュートSilêncio Tributo a Jo o Gilberto
ブラジルのシンガーソングライター、ヘナート・ブラスのジョアン・ジルベルト・トリビュート。以前彼のライブを聴く機会があり、少しお話もしたのですが、その時に感じた温かい人柄そのままの包容力たっぷりの素晴らしい歌声とアレンジ。ジョアンの曲がまた新しい世界を手に入れたという感じでしょうか。聴けば聴くほど味が出るQuietミュージックです。



その他、惜しくも選外ですが、こんなアルバムも良かったです。

● Southbound / The Doobie Brothers
ドゥービー・ブラザーズは10代の頃ロックファンだった私に、その後のスティーリー・ダン〜クロスオーバー〜ジャズへと続く音楽の扉を開けるきっかけをくれたバンドでした。このアルバムは、さまざまなゲストを迎えての新録セルフカバー集。原曲から微妙なアレンジを加えていて、それがピッタリ今の気分にはまっています。旋律やハーモニーなど「これが本来あるべき姿かも」と思えるほどのブラッシュアップがなされており、昔のファンとして嬉しくなりました。

● The Signal / Elizabeth Shepherd
年末になって聴き始めたエリザベス・シェファードのアルバムも、もっと早くから聴いていればベスト10に入ったかも。とくに、リオネル・ルエケのギターとの共演曲は程よいアヴァンギャルド感が好きです。

● Cats' Meow / Danna Gillespie
デヴィッド・ボウイ様の昔の彼女ですね。渋いシティ・ブルースを聴かせます。かっこいい声。

● in Tokyo / Antonio Loureiro
このライブ、アントニオ・ロウレイロも日本人ミュージシャン達も本当に素晴らしい演奏だったのでCD化されて嬉しいです。

● Cello Samba Trio: Saudade Do Futuro Futuro Da Saudade / Jaques Morelenbaum
ジャキス・モレレンバウムのチェロが奏でるWhiteサンバ。優しいその音にはメロメロの骨抜きにされる危険性が…。

NHK大河ドラマ「八重の桜」オリジナル・サウンドトラック コンプリート盤 / 坂本龍一中島ノブユキ
去年の大河ドラマのサントラですが、壮大な組曲を聴いているような2枚組です。品質の高さに感動しました。

●Early Riser / Taylor Mcferrin
新世代ジャズ旗手の一人であるシンガー&コンポーザーのデビュー盤。クレジットにセーザル・カマルゴ・マリアーノという意外な名前を見つけて、唸りました。




■旧譜・再発Music部門 2014 ※( )内は発表年

旧譜や再発ものでは、こんなアルバムを良く聴きました。といいますか、新譜よりも旧譜の方により頻繁に聴き込んだ作品が多かったように思います。

アルゼンチン・ロックの天才、故スピネッタ関連作は相変わらずコツコツ収集中。2014年後半には、同じくアルゼンチンのジャズピアニスト&コンポーザーであるギジェルモ・クレインと、ブラジルの大ベテラン、エドゥ・ロボのマイブームが勃発。春先には、エリス・ヘジーナにも匹敵するクラウデッチ・ソアレスの歌唱力にも魅了されました。

要するに私のブラジル・アルゼンチンの音楽旅はまだまだ続くのであります(すでに南米に移住したという噂あり)。

1 Para Los Arboles / Luis Alberto Spinetta (2003)
2 Carrera / Gillermo Klein (2012)
3 Domador de Huellas: Música del "Cuchi" Leguizamón / Gillermo Klein (2010)
4 Una Nave / Gillermo Klein (2005)
5 Bajo Belgrano / Spinetta Jade (1983)
6 Corrupião / Edu Lobo (1993)
7 Sampa Midnight / Itamar Assumpção (1986)
8 Made in Brazil / Mike Del Ferro (2008)
9 Nebula / Laika (2011)
10 Black Sea / XTC (1980)

以下のアルバムも好きになりました。
●Orquestra Filarmônica Norte Nordeste / Orquestra Filarmônica Norte Nordeste (2000)
●Rasgando Seda / Guinga + Quinteto Villa-Lobos (2012)
●Earfood / The Roy Hargrove Quintet (2008)
●Seduzir / Djavan (1981)
●Feitinha Pro Sucesso Ou Quem Não É A Maior Ten Que Ser A Melhor / Claudette Soares (1969)
●The Studio Albums 1968-1979 / Joni Mitchell


2014年はライブにも多く出かけました(追って、ライブ部門もセレクトしてみます)。

今年もあとわずかになりました。来年もまた素晴らしい音楽との出会いに期待して。