本場のブラジルギターはノリが違うのであった

1月14日、映画『哀しき獣(原題:黄海)』を新宿で観たあと(これ、アクションものの傑作です!)、ジョアン・リラ(João Lyra)氏をゲストに迎えてのギターワークショップ(基礎編)が恵比寿であるというので行ってきました。

ジョアン・リラさんはブラジル北東部のアラゴアス州生まれ。現在はリオデジャネイロを拠点に活躍する弦楽器奏者・作曲家・アレンジャーです。故・エリゼッチ・カルドーゾやナナ・カイミといったブラジルの超大物歌手のバンドメンバーとして、また、ガル・コスタ、ジルベルト・ジル、イヴァン・リンスカエターノ・ヴェローゾ、シコ・ヴァルキなど多くのMPBアーティストのレコーディングを支え、その参加アルバムは2000枚を超えるというプロ中のプロ。そんな大御所のギターが聴ける。そんな機会を逃すわけにはまいらぬ! 
ということで私もギターは少しだけ弾けるのですが、とりあえず今回は見学で参加しました。こんな大御所なのに、お会いするとにこやかに挨拶してくださり、とても大らかで気さくな人でした(体型も大らかww)。

ワークショップは、ジョアンさんがギターを弾きながら、ときに白板にリズムスコアを書いて説明しながら、それを日本語に適宜通訳するというかたちで進行。ギターを持参された方々がジョアンさんと一緒に演奏するシーンもありました。
右手の正しいフォーム(弦に対する角度)の解説から始まり、サンバとショーロの基本的なリズムパターンと奏法の説明、スウィングの生み方、運指のやリズムの練習方法、さらには他の楽器とのバンド演奏時の注意点などの豊富な内容を丁寧に、しかも熱く語っていただきました(通訳を待たずポルトガル語でガンガン話すジョアンさん。しかし、なんとなく分かるんだな、これが不思議:笑)。

ブラジルの一流ミュージシャンの生演奏を至近距離で聴いて感じたことは、第一にそのノリの素晴らしさ。音色自体は正確無比でクリアな音というよりはちょっとラフかな?と思うほどなのですが、とにかく鳴る鳴る! そして一音一音に付けるニュアンスが多彩で、一つとして同じ音がなく表情が豊か。とくにバイシャリーア(歌のメロディーに絡むように低音の対旋律を弾くサンバやショーロに特徴的なスタイル)が魅力的で、これには歌手はグッと来るだろうなあと感じました。一流の歌手たちが伴奏に彼を指名する理由もこんなところにもあるんでしょうね。

予定の2時間があっという間に経ち、最後にはギターソロで2曲も演奏していただき大満足。2月にはライブも計画中とか。ぜひ聴きに行きたいと思います。最後に握手していただいたときの優しい笑顔と手の厚さが印象的でした。

これはわが家にあるミウシャ(ブラジルの歌手でシコ・ブアルキのお姉さん)のアルバム。ジョアン・リラさんがほとんどの曲でギターを弾いています。

ジョアン・リラさんの演奏はこちらでも聴くことができます。http://www.myspace.com/joaolyra
また、動画サイトでナナ・カイミやミウシャのライブなどでも彼の姿が見られます。