エスペランサ・スポルディングのライブを観た

ベーシストでボーカリスト、コンポーザーでもあるエスペランサ・スポルディングのライブを18日(セカンドステージ)、ブルーノート東京で観た。たまたま申し込んだ某招待企画に当たったのだが(ラッキー!)、グラミー賞の最優秀新人賞をとったせいか、ファーストステージ後の受付ロビーは行き交うこともままならないほどの超混雑ぶり。外国人や業界関係者風の人も含め、年齢層はそこそこ高い印象だ。
ステージ上は左からキーボード類、寝かされたウッドベースとマイク、ストリングス3人の席、コーラスのマイクスタンド、ドラムセット、そして一人用の革ソファが並べられている。案内された席は、そのソファの真下にあるテーブル(これまたラッキー!)。そして21時30分過ぎに開演。登場したエスペランサは靴を脱ぎ捨て、ソファに深く腰掛けてサイドテーブル上のライトをつけ、ワインを注ぐ。そして目を閉じてヴァイオリン、チェロ、ヴィオラの3人のミュージシャンの奏でる室内楽にじっと耳を傾ける。そう、最新作のタイトルでもある彼女のプロジェクト Chamber Music Societyの始まりだ。こうしてしばらくストリングスだけの演奏の後、ゆっくりと腰を上げ、着ていたコートを脱ぎ捨てたエスペランサはおもむろにウッドベースを起こしてChamber Music Societyに参加する。その後、ほとんどMCなしに約90分間、彼女のオリジナルな音世界が展開する。20歳でバークレーの講師を務めたそのベースの腕前はもちろん、声量はないもののときに鳥のようにさえずり、ときに抑制のきいたシャウトを聴かせるそのボーカルは観客のイマジネーションを刺激する。そして、独特の主旋律に複雑に絡み合うストリングスとコーラスのアレンジの妙には鳥肌が立ったし、さらにレオ・ジェノヴェーゼのスリリングなピアノとテリ・リン・キャリントンの腰に来る野性味あふれるドラムが、バンド全体のグルーブを支えていた。どの曲も、あまりこれまで聴いたことのないスタイルだったせいか、何かに例えることが難しいのだが、彼女のアーティスティックな雰囲気は(たぶんキャラクターは全然違うはずだけれども)以前やはりこの会場で観たミッシェル・ンデゲオチェロにも通じるところがあるように感じた。
それにしても、あの音楽的才能に加えてあの美貌……。背はそれほど高くなくて、ステージの姿はウッドベースの大木につかまっている小動物のような感じなのだが(笑)、裸足で演奏する姿と相まって一種、森の妖精のような浮世離れしたオーラが出ていたのもたしかだ。この技術と容姿に恵まれたエスペランサ嬢、間近で見られて幸運だった! これから大いに注目していきたいアーティストがまた一人。

SET LIST ※ブルーノート東京ホームページ2/16データを参考にさせていただきました。
1)INTRO  
2)LITTLE FLY 
3)KNOWLEGE OF GOOD & EVIL 
4)CHACARERA
5)WILD IS THE WIND
6)AS A SPROUT
7)APPLE BLOSSOM
8)INUTIL PAISAGEM
9)WHAT A FRIEND
10)WINTER SUN
11)OUTRO

Member:
Esperanza Spalding(b,vo), Leo Genovese(p), Terri Lyne Carrington(ds), Sara Caswell(vln), Jody Redhage(cello), Lois Martin(vla), Leala Cyr(back vo)

最近の映像みつけた。当日のライブでもやっていた曲Little Fly
ウィリアム・ブレイクの詩だとか

少し長い動画ですがChamber Music Societyのレコーディングドキュメンタリーも。途中でミルトン・ナシメントも登場。なるほど、ここでつながるのかこの二つの音楽。