脱・ドーナツ理論

恥ずかしながら……40代も後半にして本日はじめて(テレビの録画だが)映画『ゴッドファーザー』を観た。ストーリーもセットも役者も編集もすべてが素晴らしかった。当たり前か(笑)。
昔、上岡龍太郎氏が語っていたことを私は忘れない。それは「ドーナツ理論」というもので、映画なんて名作と言われるものは観る必要はない。ドーナツでいえばど真ん中の部分、いわゆるメインストリームとか誰もが認める傑作の部分は空洞、つまり観なくてもよくて、周辺のマニア向けの作品を重点的に観て語っていれば、他人は「あの人は映画に造詣が深い」と勝手に思ってくれるという理論(?)だ。今よりずっと若い頃、他人とは違う個性を打ち出すことばかりに執心していた私は、図らずもこの上岡理論を実践していたのだった。例を挙げるならば、『ゴッドファーザー』は観てないのに、ホドロフスキーの変態映画『ホーリー・マウンテン』や『エル・トポ』とか、エド・ウッドの『死霊の盆踊り』(これ史上最低映画の誉れ高き作品で、ほんとにヒドイ:笑)はちゃんと観ていたり……。告白するなら、『サウンド・オブ・ミュージック』も2000年代に入るまで観てなかった(ひとたび観たらあまりの素晴らしさに虜となりDVDまで買ってしまった:笑)。
このように、私の場合、映画に関しては名作と世間で認められている作品でも未体験のものが実はけっこう多い。そういえばゴダールはけっこう観たくせに、フェリーニは全然観てない。ヒッチコックはそこそこ観たけど、アルトマンは遺作1本しか観てない。『未知との遭遇』も『猿の惑星』も『時計仕掛けのオレンジ』も観てない。黒澤はまあまあ観たけど、溝口とか小津とかは観てない。うーむ。
考えてみれば小説にしても文学史上重要な作家でノーマークの人がけっこういるぞ。そうだ、これからは「ドーナツ」の空洞部分をじっくりと埋めていこうか。せっかくまだ生きているのだから、名作と言われるものも一通り体験しておかないと損だわ。
ということで、まずは傑作とされる『ゴッドファーザー2』を借りてこようかと(笑)。そして、東北旅行のために宮沢賢治も何冊か読んでみよう。そうです、ほとんど読んでません……恥ずかしながら。
ゴッドファーザー PartI <デジタル・リストア版> [DVD]サウンド・オブ・ミュージック [DVD]ホーリー・マウンテン [DVD]死霊の盆踊り デラックス版 [DVD]