和歌山のサル

先週はお盆ということで実家のある和歌山に帰省したのだが、和歌山といえばふと思いだした話がある。
数年前に東京の西麻布で野生のサルが逃げ回っていてニュースネタになったのを憶えておられるだろうか。どうやら、八王子から迷い出たサルはどんどん東へ東へと進んで、ついには大都会のまん中まで来てしまったのだという。この、ふってわいたようなサル捕物帖に世間はちょっとした騒ぎだったが、ボクの和歌山時代の友人がそのニュースを見ながら面白い話をしていた。
「いやー、サルいうんはメチャメチャ頭がエエんや」
目撃談はこうである。よく、まわりに畑しかないような田舎に行くと、道ばたに無店舗販売というか、木の台の上に野菜だの果物だのを並べてその傍らに「どれでも5個100円」などと書かれた看板と小銭入れが置いてあるのがありますよね。友だちは和歌山の田舎で、サルが無人販売所の果物をまとめて取ろうとしているのを見たのだという。それだけならべつに驚くほどのことではないが、そのサルがちょっと他と違っていたのは
「いや、そんでな、そのサル、(和歌山のスーパー)オークワのレジ袋持参しててな、そこに果物ばっかり何個も入れよんねん。“うわー”思って見てたらな、きちんと袋につめたらテクテク立ち去りよった」
…これ、和歌山の人が聞いたら腹がよじれるほどおかしな話だ。オークワの袋に果物をつめて持ち帰るサル! しかし、友人の目撃談はこれにとどまらなかった。
「いやー、びっくりしてたらな、そのサル、戻ってきて道の反対側にあったジュースの自販機に100円入れてジュース買うとったわ」
さすがに、それはないだろうと思ったが友人は「ぜったいホンマや、この目で見たんじゃ」という。
レジ袋をもち、ジュースを買うサル…。和歌山、侮れず…